ガンダム生みの親としても有名で、数多くの作品を世に送り出してきたアニメ監督(演出家・原案提供者)の富野由悠季さんは、現在も現役で活動されています。宇宙開発に対する考え、コンピューターの未来に対する思い等、インタビューで意見を発信して話題にもなりました。

富野由悠季監督のインタビュー動画

富野由悠季監督の現在、直近の活動歴

2014年に放送された「ガンダム Gのレコンギスタ」で原作・総監督を務めました。

Gのレコンギスタ(公式サイト)

2016年に「アニメツーリズム協会」理事長に就任、2019~2022年にかけて展覧会「富野由悠季の世界」が全国の美術館で開催、好評を博しました。文化庁長官賞を受賞した後、2021年には小田原市のふるさと大使に任命され、同年11月、文化功労者にも選出されました(文化功労者…文化の向上・発達に関して功績のあった人物。毎年15人ほどが選ばれる国の名誉)。

2021年に文化功労者に選出される

▼富野監督の選出理由

「物事の本質をつく視点で壮大な世界観をもつ作品を創造し、我が国のアニメーション界に新たな表現を切り拓いてきたものであり、アニメーションを文化として発展させた功績は極めて顕著」

文部科学省 令和3年度文化功労者顕彰式にて

選出しているのは文科省です。選出した官僚は、年齢的にガンダムのドンピシャ世代といえます。ガンダムファンであると同時に、ファン目線だけではなく、国への貢献という目線でも富野監督の活動は名誉に値するものだと判断されたということです。アニメ作品を国の「文化」として認めさせた人物であるといっても過言ではありません。

富野監督は、こういった賞を貰ってしまったが、世の中に自分は何を求められているのだろうと1ヶ月くらい悩んだ、と後のインタビューで語っています。考えた結果、

「自分たちの代わりに、お前が本音で言いたいことを言え」つまり、時代の代弁者として喋る気配がある富野が名指しされたと感じたわけです。

https://animageplus.jp/articles/detail/44345

と自分の役割を認識し、さらに勉強せざるを得なくなったとおっしゃっています。ご本人も80歳過ぎているし、国から名誉賞をもらったのであればゴールしたとして休んでも良いかと思ってしまいますが、富野監督はむしろここからスタートさせる勢いで、現在も活動を続けておられます。時代の変化に文句を言わず、若者に嫉妬せず、堂々と自分の意見を述べること、そのために勉強しアウトプットし続ける姿勢には、考えさせられるものがあります。

職人気質、残した伝説は数多い

フリーの若手時代、猛烈なスピードと量でコンテを仕上げていたことから「コンテ千本切り」「さすらいのコンテマン」と呼ばれていたそうです。ガンダム開始時点での絵コンテの枚数は少なくとも586枚にも上ると記録が残っていて、歴代アニメ史上最多記録とのこと。メンバーに依頼したコンテに満足しない場合、時間がなくても自分で納得いくまで修正していました。ほとんど自分が手直ししたにも関わらず、スタッフロールの記載はそのままにするなど、同じ作品に携わる方々への配慮を忘れない人物です(参考元)。

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